「アニマルセラピー」の種類(1)

「アニマルセラピー」は大きく分類して、以下のような3つの種類に分けられます。

動物介在教育

「動物介在教育」とは、幼稚園や小学校などの教育現場や子供たちの集まる施設などに、動物と一緒に訪問し、正しい動物との触れ合い方や命の尊さ、弱いものを慈しむ心というものを学んでもらうための「教育活動」です。

生活や道徳に関する「総合学習」のプログラムとして、取り入れる学校も少しずつ増えてきています。

動物介在活動

「動物介在活動」とは「治療」を目的にするのではなく、動物とふれ合うことで得られる充足感や満足感を楽しむことを主とした娯楽です。

いわば、気晴らしの要素が強い「コミュニケーション活動」のことです。

動物と触れ合うことで、精神的なバランスを保ち、心の安定を図ることができると期待されています。

一般的に「アニマルセラピー」と言われる多くの活動が、この「動物介在活動」です。

老人ホームや精神疾患病棟、施設等への訪問が、主な活動の場となります。

動物と触れ合う環境に身を置くことで、心のトラウマや不安感など、心理的な面で、思考が前向きになる効果があると言われています。

利点として挙げられるのが、多くの動物や人が同時に一ヶ所に集まり、自由に好きな動物と接することができる点です。

これによって、様々なコミュニケーションをとることが可能になり、感情を共有することで、心身ともに活性化させることができます。

簡単に言えば「動物を介して深める、自由度の高いレクリエーション」というところでしょうか。
動物が持つ能力は計り知れないのです・・・。

動物介在療法

「動物介在療法」とは、治療を目的とした医療の現場で、動物を介在させて行う「補助療法」のことです。

患者の心や身体のリハビリ、補助的な治療を主な目的として行うため、医療に従事する人の指示、指導で進められることが大前提です。

「動物介在療法」に使われる動物は馬や犬などが多いですが、より身近で馴染みのある動物という点から、犬が使われることが多いようです。

その場合、患者が「犬好き」であることが条件として挙げられます。

治療の目的は、患者の精神的な安定や身体機能のバランスを整え、社会復帰への促進を促すことにあります。

どのような内容になるか、どんな犬に任せるかは、患者の状態によって違います。

その取り組みは、プログラムを遂行する医師や作業療法士、理学療法士やセラピードッグハンドラーなどが連携して話しあい、決定されます。

「ドッグセラピー」と呼ばれる療法は、厳密にはこの「動物介在療法」のことを指しています。

「アニマルセラピー」の種類(2)

実際に行われていた「動物介在療法」「ドッグセラピー」の試みとして知られているのは、精神分析学者の「ジークムント・フロイト」の例です。

「ジークムント・フロイト」は、患者をリラックスさせるため、自分の隣に小型犬を座らせて診察していたそうです。

また、有名な話として伝わっているのは、臨床心理学者の「ボリス・レビンソン」の例です。

人とのコミュニケーションが上手くとれない子供に犬を与えたところ、自発的に犬と遊ぶようになり、言語障害を患っていた子供の症状が改善されたと言われています。

さらに、イギリスの看護師「フローレンス・ナイチンゲール」は、クリミア戦争で傷ついた戦士の世話をしていた際、こんな言葉を残しています。

「小さなペットは、病人や長期にわたる慢性病患者にとって、素晴らしい仲間になる。かごの中の小鳥は、同じく何年間も閉じこめられている病人の唯一の楽しみだ。彼らが動物にエサを与えたり、身の回りの世話をすることができれば、彼らの心は励まされるにちがいない・・・」

傷を癒せばそれでいいというのではなく、心も励まされる必要があると「フローレンス・ナイチンゲール」考えたのです。

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