聴導犬の歴史(1)

聴導犬の起源は諸説あります・・・。

世界で初となる聴導犬の誕生は、1960年代後半のアメリカだといわれています。

当時、その街に住む少女が飼っていたシェパード犬は、幼いころから特別な訓練を受けていた犬ではありませんでした。

生後から数か月間「待て」「座れ」「伏せ」など、犬にとって基本のしつけをしただけで、あとはペットとして、普通の生活を謳歌する、明るい性格の犬だったようです。

生まれつき耳が不自由だった少女と共に過ごし、その姿を間近に見ていた犬は、やがてドアのベル音や電話のコール音、開け放したままのドアの閉め忘れなどを自発的に少女に教えるようになりました。

それを見ていた両親が訓練士に犬を預け、少女の耳の代わりを努めるための訓練を施しました。

それから数年後、少女の犬は世界で初めて聴導犬として行政から認可を受け、盲導犬同様、公的補助を受けられるようになりました。

この成功をきっかけに地元の福祉団体が立ち上がり、1970年代後半、試験的に聴導犬の訓練がスタートしたのです。

聴導犬の歴史(2)

日本での聴導犬訓練の始まりは、1981年3月。

ある日本人女性が、アメリカから連れ帰った1匹の聴導犬だったと言われています。

犬が人の耳の代わりをすることに興味を持った日本小動物医師会と福祉団体の間で議論がなされ、埼玉のオールドドッグセンターに、聴導犬としての訓練犬の育成を依頼しました。

当時の日本には聴導犬の実績がなく、有力な情報が揃ってはいませんでした。

資料と言えば、既にアメリカで育成されていた聴導犬を元に作られた、簡易なマニュアルと数枚の写真だけ。

全てが手探り状態の中、何度も試行錯誤を繰り返し、1983年にようやく4匹のモデル犬を完成させました。

その中の1匹を同県の聴覚障害者のもとへ試験的に贈られました。

当時の聴覚犬は盲導犬と違い、正式に行政の認可が下りてはいませんでした。

盲導犬は正式に認められているのに聴導犬は認められていない・・・。

それは、目が見えない、光を感じることが出来ない視覚障害者ほど、聴覚障害者は危険視されていない、もしくは、軽視されているということなのでしょうか・・・?

感覚器の違いはあれど、身体の一部が機能しないという点において、当事者の不安や恐怖に変わりはないと思うのですが・・・。

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