イエロードッグプロジェクト(1)
国内ではあまり知られていない取組としてイエロードッグプロジェクトという活動があります。
これには黄色い目印を付けた犬を「そっと見守ってね」という、犬や飼い主たちからの無言のメッセージが込められています。
黄色い目印というのは、黄色いハンカチやバンダナを犬の首に巻いていたり、引き綱に黄色いリボンを結び付けていたりするものです。
この黄色い目印には、ちゃんと意味があります。
黄色い目印を付けている犬は、何らかの理由で他の犬や人に触れてほしくはない犬、声を掛けてほしくはない犬なのです。
例えば、しつけや仕事を覚える際の訓練の途中で、まだ完全に仕上がっていない犬だったり、他の犬や人と触れ合うのが少し苦手な犬だったり、問題行動が多く、他人に迷惑を掛けてしまうおそれのある犬だったりします。
もちろん補助犬や訓練犬など、仕事中の犬は、気軽に名前を呼んだり、近寄って触ったりするのはタブーです!
現在、世界中で訓練された犬の中には盲導犬や聴導犬介助犬などの補助犬に限らず、警察犬・災害救助犬・通常のペットに至るまで、様々な犬たちが人と深く関わり合いながら生活しています。
犬が特別な仕事に集中している時に急に名前を呼ばれたり、触られたりすると犬は驚いてしまい、集中して張りつめていた糸が切れてしまいます。
イエロードッグプロジェクト(2)
一般のペットでも、しつけの強制中の犬や怖がりの犬、健康上の問題のある犬や、飼い主以外の犬や人には攻撃的になってしまう犬など、必要以上に近づいてほしくない犬にこのような黄色い目印を付けるものです。
この活動は、2012年6月、スウェーデンの動物心理学者や、ドッグトレーナーのグループが始めたものです。
現在このプロジェクトはインターネットなどを通じ、犬に関心の度合の高いイギリスやアメリカなどを中心に、世界中に広まりつつあります。
さらに、この活動では黄色いリボンのメッセージとして、犬と人との正しい付き合い方を多くの人に知ってもらうことを目標に掲げています。
また、誰もが目で見て解りやすいイラストに、メッセージを織り込んだグッズ販売や、ポスター・チラシなどは、インターネットでダウンロードすることもできます。
飼い主さんのなかには、オシャレとして黄色を好み、犬の服やリボンに使う人もいますので、判断が付きにくく、なかなか浸透しないのも事実です(苦笑)
もし、黄色を身に付けた犬を見かけたら、その犬の飼い主さんに一言、断りをいれるのが無難だと思います。
犬だって、大きな声を出して近づいて急に触られたら、驚いて噛んでしまうかもしれません・・・。
仮に、黄色いリボンを付けていなくても、犬の体調だったり、機嫌だったり・・・、飼い主さんにしか分からない「犬の状態」もあるかもしれません。
犬に触れたいとき、犬におやつをあげたいときなどは、まず犬の飼い主に一言、声を掛けてから触れるのが、マナーなのではないでしょうか。